海が好きだ。夏は嫌いなのだが、海の香り、波の色、それらが織りなす波紋には、酷く心惹かれるものがある。冬にだって足をつけてしまいたくなるほどの引力を持つ。全く、脊髄から冷え冷えとする。しかし、音は耳が馴染みすぎていて案外知らないものだ。波の淵にはいつだって喧騒。子供の頃にくらいしか深い青を知らないが、その時の私などその騒でしかない。音はいつだってすぐに忘れてしまうのが理だろう。故に、海にはいつだって恋をできる。夏でなければ。
7/5/2025, 2:45:41 PM