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「君は子供の頃どんな子だった?」
「何だよ、急に」
「そういえば君の事全然知らないなって思ってさ」
ふいに顔をのぞき込まれ、驚いて一瞬、足を止めかけた。
「…別に、普通の子供だったけど」
顔を背けて言う。
「普通って何?どんな?」
「帰り道に友達と一緒に帰ったり、気が付くとその友達の群れから遠く遅れてひとりで歩いていたりした」
「足が遅くて?それとも会話に入れなくて?」
「どっちもかな」
うーん、と少し唸ってから彼女が言う。
「それって友達なの?」
「どうかな。友達というより、ただ帰り道が同じクラスメイトくらいの感覚だったかも」
「なんか可哀想」
「………。」
哀れみの表情を向けられて少しイラッとしたが、言葉には出さなかった。

6/23/2024, 11:10:57 AM