『揺れる木陰』
夢を見た
俺にしては珍しく、幸せな夢―――
俺には好きな人がいる
俺には不釣り合いなほど
優しくて、朗らかで、
ちょっと(かなり)、頑固でワガママ。
手は器用なのに、心は不器用で、
たまに思いを伝えるのが下手なのに
その想いは、
誰よりも何よりも 純粋で真っ直ぐだった
なんならみてくれさえも
俺の好みで仕方ない
目に入れても痛くないが
心の底から独占欲が働いてしまうほど
大好きな人
そんな人が、夢に出てきた
これは、
数年前の夜桜の木の下で
膝枕をしてもらった時の記憶だ
少し照れくさそうに
でも彼女はしてくれた
その手が俺の額を優しく撫でる
心地よすぎて、幸せすぎて、
夢の中とわかってるのに
さらに眠ってしまいそうになっていた
彼女の手に触れる
彼女の顔にも手が届く
少し照れくさそうに笑顔を返してくれた
俺にとっての、幸せな時間…
こんな夢…、
冷めないでほしい―――
―――――――――光が指す
風に揺れる木漏れ日で
俺はゆっくり目を覚ます
少し涼しい夏空の木の下、
俺はゆっくり目を覚ます
膝枕の上で―――
夢とおなじ顔の彼女が
うつらうつらとしながらも
片手は俺の頭に手を当てながら
片手は俺の手を
そっとギュッと握ってくれてた
〜シロツメ ナナシ〜
7/18/2025, 6:01:39 AM