イブの夜
続々と人が集まってくる。親子連れもいれば、お年寄り同士で手を繋ぎ支え合ってやって来るご夫婦らしき2人もいる。どういうわけか、子どもが1人で来たこともあった。
この巨大な建物の中が、人で埋まってきて、ざわざわがやがやと声が反響してうるさい。
私は1人で来たので話し相手も居なくて、座ったままボォーっと、どんどん入ってくる人々を見ていた。
中に目を転じると、すすり泣いている人もいる。不安に駆られて、うろうろと狭い範囲で動き回っている人もいた。諦めきって、眠っている人もいる。
腕章を付けた人が、大きな声で何か言っているが、これだけの人が居て、小声とは言えそれぞれが何か話しているので聞こえない。
まぁいいか、なるようにしかならない。
12時になる30分前、大きな扉が悲鳴のような音をたてて閉められようとしている。若者が1人、飛び込んできた。セーフ!というようなジェスチャーをしている。そうだった、そんな告知があったっけ。もう時間なんだ。
人々が静かにどよめいた。私は何故か、焦りも悲しみも無かった。しょうがないことと認識し、諦めている。
この巨大なシェルターで、どの程度生き残るのか。これからどうなるのか、誰も知らない。今日は地球崩壊イブの夜・・・。
12/25/2024, 3:29:18 AM