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向かい合わせ…

家には図書館から借りてきた待ちに待った本が数冊ある。

サイズはまちまちだが、何処かへ出かける時は、必ず本を一冊お供に連れて行く。

荷物が多い時は一応保険のために、電子小説もスマホに入れてあるが、よっぽどのことがない限り、紙をめくって読むほうを選ぶ。

確か…待ち合わせのカフェで、シリーズものの江戸時代小説を読んでいた時、その世界に入り込みすぎて、話の内容の展開に、え…ええ…とショックのあまり、迂闊にも泣いてしまった。

はっ!と思い、向かい合わせに座っている見知らぬ男性が、ぎょっとした顔で私を見た。

恥ずかしい…。

二人連れでテーブルに向かい合わせに座っているのとは、違う、他人なのに向かい側が空いてる状態で独りで座っている状況は、結構多い。

別のちょっと狭めの昔ながらの喫茶店で、今度は児童書の悪魔というタイトルの百科事典のような分厚い本を、真剣に読んでいたら…席を飛ばした向かい合わせの女性に怪訝な顔をされてしまった。

本に夢中になり過ぎだな…。

店が狭く店内も騒がしく、忙しそうな所では、大人しく何もせず注文を待つ、そこは蕎麦屋だ。

店内が混みだして、店員から『相席よろしいですか〜?』と聞かれると、他人と向かい合わせに座るのに恥ずかしさよりも、ちょっと大人の余裕気分を味わえて、それは嬉しい向かい合わせだ。

向かい合わせは、ほとんどが照れる場合が多い。

初対面の相手との向かい合わせ…
初デートで座る向かい合わせ…
本好きな私の、もうひとつ気を付けなくてはいけない向かい合わせは、地下鉄や電車などの乗り物での向かい合わせだ。

また、うっかり本の世界に入り込んでも、絶対避けたいのは声に出して笑ってしまう事!それだけは死守せねば…と思っている。

思いもよらない…素敵な向かい合わせに出会えますように…ちょっと、期待してみたりして…。


*読んで下さり ありがとうございます*

8/25/2023, 11:51:40 AM