今宵は、誰かと巡り逢いとうこともない、そう言われて友に連れてこられた夜の街。ここいらでは道を歩けば至る所から、「こっちに恋」「愛にきて」と、手招きされる。どんなに離れていても聞こえてくるその妖艶な声達は、今を生きるのに必死なのだ。
ふとした瞬間、笑い声でもなく、手招きの声ではなく、唄が聞こえた。足を止めて周りを見ると、とある一角の店先に、風のような鳥を見つけた。私は唄に魅入られて、その鳥を指名した。その夜は、鳥の話を聞いているだけで夜が明けた。小鳥としては好きになれない、嫌いになれない語り鳥。だがそれでいいと思わせるような、鳥には不思議な魅力があった。
巡り逢い(4/25)「こっちに恋」「愛にきて」(4/26)どんなに離れていても(4/27)ふとした瞬間(4/28)夜が明けた。(4/29)好きになれない、嫌いになれない(4/30)
4/30/2025, 9:29:40 AM