「なかじん!」
『なかじん』こと私。本当は『なかじ~』というあだ名で通しているのだが、この新小二の少女はどういうことか、私をなかじんと呼ぶ。そしてとても無垢で楽しげいっぱいの笑顔を浮かべるのだ。
その子とは春のキャンプで出会った。
高校生の私に懐いてきてくれた少女だった。
お友達の手を握り、元気に跳び跳ねてはすっ転げて、いっぱいの笑みを振り撒く。
媚びない愛想をばら蒔いてきゃいきゃいと声を上げる。
かと思えばお母さんに会いたいと言って泣いた。
高校一年となった私にとって、小二になったばかりのその娘は可愛らしくも眩しかった。
どこまでも澄んだ瞳に世界が映る。
上がった口角は誰にも媚びへつらうことの無く、その満面の笑みは純白のパールが如く輝いて見えた。
あの娘には世界の素敵な面をたくさん見ていてほしい。
その無垢な瞳が濁らぬように。
5/31/2024, 10:22:02 AM