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鳥のように

「死んだら、鳥に生まれ変わりたいな」
「は?」

久しぶりの休みだから、公園でご飯を食べよう!!と張り切って、朝早く起きて弁当を二人で作ったのに、何つうこと言ってるんだよ。お前

「馬鹿なこと言うなよ」
「えぇーだって鳥になったら自由に空を飛んでいけるんだよ」
「あっそ」
「jnpiは、何に生まれ変わりたい?」
「……人がいいな」
「えぇ…マジで」
「文句あんのかよ」

もし、次があるなら…また、お前と一緒にいたい。
小っ恥ずかしくて面と向かって言えねぇけどな。

「てか、アホなこと言ってねぇでささっと飯食え」
「はーい…って、jnpi!!ソレ!!取って置いたのになんで食べるのよぉ!!」
「さっさと食わねでのが悪い」
「あぁ!!タコさんウィンナーはダメ!!」

数ヶ月前まで、そんな会話をしていたのに…
なんで、なんでだよ。

「……癌」
「うん…ステージ3、だって…いや、気付かないもんだね。沈黙の臓器とはよく、言ったものだ!!」

いつもの様に笑っている夢主。なんでそんなに笑えるんだよ

「……だ、治るんだろ…治療とか」
「…確率は低いって」
「なに、諦めてるんだよ」
「これが、私の運命だったて…諦めるよ」
「ふざけんな」
「……、どう、足掻いても無理なんだよ」
「っ、諦め「jnpi」

血が出るほど握りしめている俺の手を両手で包む様にして触れる夢主。

「もう、大丈夫たから」
「…俺は…」
「今は大事な時期なんでしょ?jnpiの親友のhgwr君の仇である犯i人が、またFAXを送ってきたんでしょ?」
「それは…」
「私の事より、そっちを優先して。もう何年も追ってるんだから、必ずjnpiの手で捕まえるんだよ」


『例え…私が先に居なくなっても、側にいるから。ね』


その会話が夢主と話した最期の会話
俺はあいつの死に目にも会えなかった。
俺がどんなに会いに行ってもあいつは、常に笑顔でいた。薬の副作用で辛いはずなのに全てを隠して、俺の前では笑ってたんだ。


「お前との約束も…破っちまうな」


観覧車の中、煙草を吸いながら小窓から空を見る。
腹が立つくらいの良い天気だな。お前が好きな天気だ。

「ん」

一羽の鳥が器用にゴンドラの淵に止まった。
危ねぇぞお前、吹き飛ぶぞ。と手でパンパンと窓を叩くと欠伸をしては、毛繕いをしてる。

腹立つ鳥だなテメェ

「まさか、お前、夢主が?」

そう呟くと、鳥はこちらを見ては嘴で窓をーコンっーと突いた。

「馬鹿だろ、お前。今ここに居たら吹き飛ぶぞ」
「……」
「俺と心中するつもりか?」
「……」

この馬鹿鳥はとうとう首を後ろに回して寝やがった。
お前絶対に夢主だろ。腹立つ態度しやがって

「…なぁ、もし、もしまた生まれ変わったら、また俺と一緒にいてくれるか?」


そう言うと鳥は此方を向いてひと鳴きした。
あぁ、やっぱりお前夢主だったか

爆弾が吹き飛ぶ瞬間、stuに爆弾の場所を教えて、一瞬だけ夢主を見る。

夢主は相変わらず。リラックスしながら器用に淵にへばりついてる。お前…餅みたいにベッタリとしてるな。

俺と一緒に死んでくれるのかよ。
馬鹿野郎。お前覚えておけよ
来世でも必ず見つけてやるから…

今度はお互いにヨボヨボになるまで生きよう、な…


*•*•*・*•*•*・*•*•*・*•*•*・


「みーつけた!!」
「……」
「わたしがやっぱりはやかった!!」
「……っ…みつけるのが、はやいんだよ!!おれがみつけたかったのに!!」
「へへ」






8/21/2024, 11:50:06 AM