いつもアパートの2階の空を眺めていた。
ここではいけないなあ、と思いながら。
思考が働かなくても赤ん坊の泣き声が私を動かした。
私は『もう死んでしまいたい』と言ったあの人を羨ましいと思いながら、「私は大丈夫です。死なないと思います。死んだらいけないと思うんです」と聞かれてもないのにどこででも繰り返していた。
この子がいなければ義務も苦しみも生まれなかった。けど、この子がいなければきっと私はもういなかった。
取り繕うことのできない正直者なので、保健士や病院の言う通りに薬を飲んだりしていたらいつの間にか健康体になっていた。
生きたいと思ったことは昔からないので相変わらず早く終わらないかなあと思ってはいるけど、聞かれてもないのに「大丈夫です私は死なないです」なんて繰り返す奇行はしなくなっていた。黒歴史に近い。周りの人は何も言わない。何も言わないでいてくれてありがとう、恥ずかしいので。
さて私の『義務』は現在、家の中ではつらつと笑顔を振り撒き笑い声を響かせており。
時々ふすまに穴を開け、床を泥だらけにし、叱られて泣き、反省して、次の瞬間にはもう踊ったり笑ったり、微妙な出来の駄洒落を言ったり、天才歌手や画伯になったりして。
あなたがいたから、私は苦しみの中でもただ生きることがやめられなかった。
あなたがいるから、私は幸せ。
本人にはとても言えないので、ここで吐き出し。
6/21/2024, 7:34:54 AM