海喑

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私は中学二年生になった。その夏の事。
「先輩、私、あなたと同じ歳になっちゃった。」
お墓に花束を供えて、私は俯きながら呟いた
私はいつもしてる事を一通り済ませ、墓地を後にしようとした時だった。
ん?何あれ?
私の目に飛び込んできたのは二枚の【カード】だった。
普通のカードだったら素通りしたが、それはオーラ?を放ちながら宙に浮いていたのだ。
私はそれに触れた。すると、一年前のあの事件の二ヵ月前に戻っていた。
そうか、あのカードはタイムマシンだったのか。なるほど
だけど…これ、どうやって戻ったらいいのだろうか
まァその時に考えればいいか。という楽観的思考に陥り私はバッグに財布があることを確認し、
乾いた喉を潤すためのジュースを買いに行こうとした時
「海暗……?」
聞き慣れた声で誰かが私を呼ぶ。
その正体は、死んだ先輩だった。
「先輩…」
私は思わず泣いてしまった。
「どうしたの?!ていうか前会った時から身長も雰囲気も全然変わってるけど、って隈酷いじゃん!!
もう、何があったのかは知らないけど着いてきて!」
と言って手を引っ張る先輩を見ると、腹の中が抉られるような感覚がした。
こんなに健気で明るくて、誰にも優しい先輩をどうして守れなかったのか。そう自分を責めてしまったから。
「あのね、先輩」
私は落ち着いて、静かに声を発する。
「どうしたの」怒っている。明らかに先輩は怒っている。
「信じ難いと思うけど、私未来から来たの。だから、未来であった事を私は知ってるの。」
「うん」
「それで…貴方が…死ぬのを私は知っているの。」
「……」
「お願い。私を独りぼっちにしないで。私、貴方と一緒に生きていたかった。貴方と一緒に死にたかった。
だから、そんなに苦しいことがあるなら言ってよ。私、貴方の為ならなんでもするからさ。」
「海暗」何時もよりずっと低い声で私の名前を呼ぶ。
「何?」私は首を傾げる
ギュッと、私は抱きしめられる。
「んえッ?!」
「…お前を独りになんて、もう絶対させない。俺はお前とずっと、生きてみせる。だから、安心して。」
「…約束だからね。先輩。」
そう誓った時
何時の間にか握っていたカードが光り、私は元の場所に戻ってしまった。

「あら…」
私はさっきあったことを思い出しながらスマホを取り出し先輩に電話をかける。
出なかったら…まァそういうことだ。
プルル…プルル…
〈もしもし?あァ、海暗か、どしたの?〉
「何でもない。ただの生存確認だよ。」
〈俺まだご存命なんだが〜〉
「ハハッ、まァいいじゃん。減るもんじゃないんだし」
〈いや減ったよ〉
「何が」
〈睡眠時間〉
「寝すぎだからこのくらいに起きてもいい気がするんだが〜」
〈いやこれくらい寝ないと生きてけん〉
「マジか〜」
〈マジだ〜、あ、そういえばさっき変な夢見たんよ〉
「どんな?」
〈一年前の俺の前に今の海暗がいた夢〉
「へぇ〜どんな感じだったの」
〈なんかすっごい必死だったな、さっきの海暗と一緒で死人扱いされてた。酷くね?〉
「ハハ…そうね。」
〈絶対そうだって思ってないじゃーん〉
「思ってる思ってる!」
〈そうか。ていうかなんか今すっごい海暗に会いたいんだけどどこ居るの〉
「墓地」
〈わァマジか、まァいいや。迎えいくから待ってろ〜〉
「あ、じゃあコーヒー買ってブラックね」
〈オッケー、んじゃ。〉
ツー、ツー
タイムマシンって言うのか分からないけれど、
あのカードのおかげで私はまた貴方と一緒に笑ったりすることが出来るようになった。

タイムマシンがあった『から』私は悲惨な運命を変えに行った。

7/23/2023, 7:20:06 AM