「何でこんな事になったのか話してくれないか?」
「うん、最初は仲が良かったの。
なのに急に私がいじめてきた、とか言い出して。
意味がわかんなかった。
本当に何もやってなくて、でも、確かに痣ができていたから嘘ではないんだろうなって思った。
誰かにやられて、それを私のせいだと言っていたんだと思う。
それか自分でドジを踏んだか…。
とにかく、殴られたとか悪口言われたとか、とにかく色々皆に言ってて。
それを信じた人は最初は半分くらいだったんだけど、日に日に元気がなくなっていく彼女の事を本当に私がいじめているんじゃないかってなった。
それから教室の空気がいつも重くて、居心地が悪い」
「教室の居心地が悪いんだったら何でわざわざ教室にいたんだ?」
「教室から逃げれば私が認めたってことになると思ったから」
「味方はいないの?」
「味方は分かんないけど、クラスの一グループはどうでもいいとか、どっちも悪いところがあったんじゃないか、とか。
そう言う中立の立場に立ってる人はいるよ」
「そっか」
「それよりさ、早く残りを食べたほうがいいんじゃない?」
「もう時間無くなるな」
「ありがとう、急いで食べる」
「私はもう行くから」
「ちょっと待って!今日一緒に帰れない?」
「できる、と思う」
「できたら校門前で待ってて」
「分かった」
「またね」
「うん」
「あの人じゃない?」
「声かけてみるか」
「姫華さん!」
「びっくりした、そっちのクラスは結構掛かるんだね」
「姫華、すまん!」
「え?うん」
「そう言えば姫華の家はどっち方面なんだ?」
「あっち」
「別方向か、ごめんね、呼んどいて何だけど…」
「しかし、今日の夕日は綺麗だよな」
「確かにな」
「こんなに綺麗ならどんなに写真が下手でもそこそこにはなるかもな」
「撮ってみれば?」
「あぁ、……おー、……うん」
「何でこうなったんだよ」
「うーん」
「そのまま話していると日が暮れそうだから私はもう帰るよ、じゃあね」
「また明日」
「じゃあなー」
その日の夕日は息を飲むほど綺麗だった。
静かに反射し、沈む時まで美しい。
その様子を今頃新しく出来た三人の友人は見ているのだろう。
だが、三人揃ってその日の夕日を見ていたことなど知る由もないのだ。
ー沈む夕日ー 終わり
4/7/2024, 11:59:44 AM