10月25日、午後2時
ふと窓の外を見ると木が大きく揺れていた
空はとんびが一匹だけで雲一つなかった
揺れる木の葉と不変の空を眺めていた
それだけであった
ずっとなにかを求めていたんだと思う
自分には才能が眠っているんだ、ずっとそう信じていたんだと思う
才能の持つ者しか与えられない大きな羽は、自分の背中にはなかった
代わりに付け焼き刃のようなちいさな羽根が何枚か背中に付いているだけであった
なにかを諦めるたびに僕の羽根が落ちる音がする
今日もまた一枚、僕の羽根であったものが空気を揺らす。
「揺れる羽根」
10/25/2025, 5:29:11 PM