hot eyes

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「藍佑(あいすけ)見て、サクラだよ」
行きの朝日。いつもの道で偶然会った山吹(やまぶき)と一緒に二人で登校していた。
山吹が指を指しているところに目を動かすと、桃色の花弁達がちらちらと舞っているのが見えた。
「サクラ綺麗......もう春だね」
「ふーん...」
藍佑は興味が無さそうに、ゆったりとした口調で答える。山吹は藍佑がサクラに興味を持たなくても気にせずサクラ達を見つめる。

山吹は舞うサクラに風情を感じていた。
(...あ)
舞い落ちてきたサクラの花弁が一枚、藍佑の頭の上に乗った。山吹はそれを取ろうと藍佑の頭に手を伸ばす。
「...っえ...!?」
藍佑は伸ばされていた手に気づくとビクッと肩を震わせて体を固めた。
目はきつく閉じられ、がたがたと震わせる。まるで早く終わってくれと言わんばかりに。

「.........」

山吹は軽く髪を触り、サクラをはらりと落とした。
「.........?」
「サクラついてたよ」
藍佑はそれを聞いてそろりと目を開ける。
「...どーも」
「急に触ってごめんね、びっくりしたよね」
「別に......悪気があった訳じゃないし、気にしなくていい」
藍佑はなんでもないような顔をする。
「...はぁ、そんなに心配しなくていい」
「ボク何も言ってないけどな?」
「顔が言ってる」
すん、とした顔で山吹のことを指す。
「藍佑が嫌だと思ったことは、したくないからね」
「もう気にしなくていいんだけど...」
「ボクが気にしちゃうんだよ。大事な友人だからさ」
「そう...」
藍佑は少し俯いて考える。するとポケットからスマホを取り出して時刻を見る。
「そろそろ時間まずいんじゃない?かの学級委員長が遅刻なんて面目丸潰れでしょ」
「おっと、確かにまずいね!早く行こうか!」
「うん」
山吹と藍佑は軽く走り出す。

(...僕はまだ、委員長のことを信じれてないんだな)

と藍佑は前を走る山吹の背を見て追いかけていた。

お題 「ひとひら」
出演 藍佑 山吹

4/14/2025, 9:56:39 AM