霜月 朔(創作)

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瞳をとじて


さぁ、瞳を閉じて。

その瞼をそっと下ろし、
全ての現実から目を背けて。
そうすれば、君と私は、
本物の恋人同士の様に、
恋という甘い海の幻に、
溺れることが出来るから。

お互いの瞳を閉じて、
只、お互いの温もりだけを、
感じられれば、
あの日、失った恋さえも、
幻の幸せの中で、蘇るから。

今、この瞬間、ここにいるのは、
君と私だけ。
だから、お願い。
今だけは、私だけを見詰めて。

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どうか、瞳を閉じて。

何も見えないふりをして。
何も気付かないふりをして。
失った恋も忘れたふりをすれば、
私と貴方は、
本当の恋人同士の様に、
愛に身を委ね、
揺蕩うことが出来る筈。

ふたりで瞳を閉じて、
只、お互いの存在だけを、
感じられたなら、
待ち人が帰ってきたという、
小さな嘘も、信じられる筈。

今、この瞬間、ここにいるのは、
貴方と私だけ。
だから、お願いです。
今だけは、私を抱き締めて。

1/24/2025, 8:03:47 AM