木蟹村

Open App

 あなたとわたしは分かりあえる。
 誰かの愛か恋にとっての神様はそう言ったのだそうだ。神様のようにまぶしく、冒しがたく、崇めることしかできようのない、わたしたちとは違うひと。
 無理だ、違うのだから。
 わたしたちはそう言って神様を傷つけ、愛か恋か憎しみかになってさまよう羽目になる。そうして誰ともわからず寄り集まって、こうして影のなかにうずくまっている。
 そうだねと嘘をつければよかった。だけど神様に嘘をつくなんてことは、誰もしたくなかったのだ。

7/27/2023, 11:07:20 AM