省旭

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君以外には何もいらない。
そう呟くと、彼は困ったような表情をして、俺から目を逸らした。
ずっとずっと思ってきた人。
今さら俺のものになるとは思ってないけど、彼は俺の気持ちを知ってるはずだったのに。

「誕生日何がほしい?」

なんて聞いたら、そう返すに決まっているだろう。それともこのお気楽脳天気な友達想いの彼は、そんな可能性にも気づかなかったのだろうか。気づかなかったんだろう。

彼の頬をそっとなぞる。せめて、これくらいは許してほしい。
彼は固まったまま何も言わない。

4/20/2024, 1:51:59 PM