読み終わった小説は、本当に好きな物を除いて売るか捨ててしまうことが多い。
本棚がすぐに埋まってしまうから。
でも何気ない日に君から貰ったあの本。
『ずっと読みたそうにしていたので』と渡されたそれは、書庫に同じものがあるにも関わらずビニールのカバーが付いていた。
読みたそうにしていた、とは言われたものの、本当にそれだけなのだ。
好きな作家さんが書いている訳でもないし、集めているシリーズでもない。
でも何故だろうか。
それだけは、その本だけはいつまでも捨てられないものである。
ビニールが解かれたそれは、今日も本棚の一番端にそっと佇んでいるのだ。
【いつまでも捨てられないもの】
8/17/2022, 10:33:37 AM