木綿

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故郷には海が無かった。
だから若かった私たちは自転車で、制服のまま湖を目指し、浅瀬ではしゃいだ。

何してるの
ふたりでみずうみー

濡れないように携帯で他の子達に話しながら、片手で水中を探る。ちらりと友人を見ると、けらけら笑いながら楽しそうにこちらに水を飛ばしていた。
暑さも、日差しも、透けて見える水中も。
光る水飛沫も、いつも見ていた笑顔も。

思い出に、なった。

tu eres mi media naranja と聞いて、思い出したのは、ずっと一緒だったきみだった。
まるで、ふたつでひとつの貝殻だったように。
いつまでも、一緒だと思っていた。

またね、が永遠に来ないなんて


「貝殻」

9/5/2023, 2:50:05 PM