蝉助

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君は覚えてないだろうけど、わたしたちはずっと一緒だった。
ずっと、どれくらいそうだったかと聞かれれば、それはもうベテルギウスまで歩いて行くくらい。
でもそんなこと言ったって信じてもらえないだろうから、今日もわたしは高校の先輩を偽るの。
ちょっと前は君が歳上だったのにね。
その前は生まれた日まで一緒で、双子を名乗ったりもしていたね。
全部覚えていないんだね。
輪の中をくぐる度、君とわたしはいつもリセット、新しいわたしたちになって、また巡り合わせる。
まっさらな中で新しいおはなしを綴っていく。
でもね、君は覚えていないだろうけど、君はいつも星好きで生まれてくる。
ベテルギウスだって君が教えてくれなければ、いちいち覚えてなんていられないからさ。
あれがこれで、これがあれなんだよ。
どんな世界でも変わらない星星を指さして笑っている。
いつの間にかわたしの方が詳しくなってしまったね。
やっぱり、時々考えるんだよ。
もしも君が輪をくぐる前のことを覚えていて、初めて君の方からわたしを探し出してくれたらって。
いつもわたしからだから、時々不公平だと思う。
君、星探しは上手いのにね。
これからもずっと君の隣にいるよ。
それで、もしたくさんの時間が過ぎて、世界の何処かのズレやバグや間違いがわたしたちの下に降ってきたらさ、どうか君がわたしを見つけて。
泥沼の縁でうたた寝している私に気づいて。
ベテルギウスから地球に歩いて帰ってくるまで待つから。

4/5/2024, 8:53:16 AM