於菟

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今年初めての花火大会
暑い中彼を誘って、ふたり浴衣で出店を回る
あれが欲しいこれが欲しいと言う私に
彼は笑顔で着いてきてくれた。
彼は無口な方。それが私の惚れた1つの要因。
でも正反対な性格に、1度不安になったことがある。
けどね、
「喋る私といて疲れない?」って聞いたら
「僕は話し下手だから...
それに、楽しそうに喋る君を見るのが好きだし」
って言われて再度惚れ直したのは言わずもがな!!
そんな事を思い出しながら綿菓子や炭酸、かき氷を買う
ここは楽園だ!!!!!

20:25
スマホを見ればもうそろそろ花火が上がる時間
段々人が多くなり、身動きが取れなくなる
ふと自分の手に彼の手が触れ
いわゆる恋人繋ぎをされた。
「?!!?///」
いつもこんな事しないのに!!!って心の中で叫びながら
何とか平然を保つ
20:30ブブッとスマホが振動し
リマインダーに
【彼と花火大会】と表示される。
「ねぇ」
ちょんちょんと肩を叩かれ彼の方を向くと
ぎゅっと抱きしめられた
「好きだよ」
耳元で聞こえた言われ慣れない言葉に
ぐわっと体温が上がる
驚いて彼の腕から脱出し
慌てた手つきで炭酸のキャップを開ける
急いで飲んだ炭酸はとてもぬるくて不味かった。
顔を顰めた私を見て
無口な君は「ふふっ」て笑う。
ドンッと鳴った花火は
彼の笑顔で霞んで見えた

『ぬるい炭酸と無口な君』

8/4/2025, 8:14:33 AM