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「たまには2人で出かけようか」
よく晴れた休日。僕はキミを誘って、車で水族館へ出かけた。
「水族館なんて、いつ以来かしら」
水族館に入り、キミは少しはしゃいでいるように見える。
「子どもが小学生の頃に来たよね」
キミの楽しそうな様子に、連れてきて良かったな。と、僕も嬉しくなった。
「はぁ、かわいい」
一緒に動物を見て、次の水槽に行くとき、並んで歩いていたはずが、キミはどんどんと先に行ってしまう。
「待って」
咄嗟にキミの手を取ると、キミは足を止め、僕を振り返る。
「どうしたの?」
「楽しいのはいいんだけど、僕を置いていかないで」
苦笑すると
「ごめんなさい。次は何かなぁって、ワクワクしちゃって」
キミは照れ笑いする。
「このまま、手を繋いでてもいい?」
先ほど取った手をギュッと握ると
「こんな、カサカサな手だけどいいの?」
キミは不安そうな顔をする。
「そんなの、良いに決まってるでしょ。お互いに、手がしわしわになっても、手を繋いでようね」
そう言って微笑むと、キミも微笑んでくれる。
「じゃ、行こう」
「ええ」
水族館を出るまで、手を繋いで歩いたのだった。

12/10/2024, 9:44:55 AM