椋 muku

Open App

「What are you going to do tonight?」

英語の授業でそう問われた今日この頃。何をする予定ですか…そんなことを聞かれたって今の歳じゃサンタにプレゼントなんて頼む柄じゃないし。

「Um...I'm going to have special dinner with my family.」

特に変わった料理じゃないけれど、イブってだけでなんでも魔法がかかったように美味しくなるだろうから。
授業は難なく進む。今日はイブだというのに出校日であって、明日のクリスマスも「クリぼっち」というものを回避出来ることが約束されている。そして半日という間拘束されることも。
今日はやけに殺風景でつまらない。隣に視線を移したとて君が来る訳でもない。家の事情で休みとか聞いてないし。穴が開くほど君の机を眺めているのに私は不機嫌になっているのに、気にかけてくれる君はどこにもいない。

半日が終わるのはあっという間だった。何か物足りなさと寂しさ。家に帰れば学校のことなんて考えることもなかったのに、明日も来ない君のことを考えては何も出来なくなってしまう。クリスマスを君と一緒に過ごせないなんて寂しすぎるよ。私は君に会いたいのに…。
白ひげを生やした赤服のおじさん。私はもうサンタなんていう小さい子供達が信じるような架空の神様にお願いする権利は与えられないのだろうけど、あなたに一つだけお願いをしたい。どんな物欲でも捨てる覚悟と引き換えに彼も私と同じ気持ちでいてくれますように。たったそれだけの事。

イブの夜。それは聖夜だなんて言われるけれど、私には寂しくて会いたくてたまらないもどかしい夜。こんな特別な意味がこもっていない日だったのなら、私は今も君に会えずに眠れない夜を過ごすこともなかったのだろうから。

好きだよ、ずっと前から。ただ一言伝えたいだけなのに。

題材「イブの夜」

12/24/2024, 1:07:20 PM