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※習作、一次創作です



月夜



「月が綺麗だね」



隣の彼がそう呟いた。

そういうことだよね…?
ただ、変に意識してると思われるのも…。
どうしよう。

「い、一緒に見てるからそう感じるのかな…?」

「……」

彼はこちらを向くが返答は無い。
あれ、変だったかな。


「…寒い?中入る?」

彼は心配そうな顔をする。
元からそんな気も無いとでも言うような心底心配した顔が、今は胸をチクリと刺した。

そう、だよね。

「いや、もう少しいるよ。」

顔を月に移す。
何も変わらず静かに、煌々と。


ザッと足音がする。部屋に入るのか、少し後ろで聞こえる。


自然と月から目を離す。その先の景色も星が散りばめられていて綺麗だ。
ただ、なぜかあまり入ってこない。
月の光が目端に移るばかり。


すぐ、カララとベランダの窓が開く。

「中入ろ?」

「…うん。じゃあ。」

寒いっ…と体を縮こませる彼に少し癒やされる。
そして流れてくる暖かい空気に触れ、気持ちも和らいでいく気がする。


最後に月を一瞥してから入ろうと足の向きを変える。
その時、後ろから彼に抱きしめられた。


「ねえ」


耳元で声をかけられ、ビクリとはねる。




「僕は死んでもいいよ。」




3/7/2024, 6:01:03 PM