NoName

Open App

春恋



昨年の春

わたしの恋は、儚く散った。


ずっと好きだった男の子が

女の子と付き合ったことを知った。


想いもまだ伝えられてないのに。

幸せそうに笑うあなたを見て、ただただ苦しかった。


つらくて、ほかに好きな人をつくろうとしたけど、

やっぱり、あなた以上に好きになることはなくて。


それ以来、わたしはちょっぴり

春が苦手だ。





そして今年も春が来た。


『 もう1年も経ったんだ 』


この季節になると

どうしても思い出してしまうんだよなぁ。


でも、今日は久しぶりの学校だ。


楽しい1年になりますように、と願いながら

学校までの道を歩いていると

視界いっぱいに、桃色が広がった。


春は苦手だけど、やっぱり桜は綺麗だ。

しばらく立ち止まって見惚れていた。


そろそろ行かないと、と歩き出そうとしたとき




『 きれいですね 』




振り返ってみると、

そこには、同じ制服の男の子がいた。


優しい笑顔で、わたしを見ている。


それはまるで、花びらが優しく舞うようで

桜に負けないくらい綺麗だと思った。



そのとき、わたしの心臓が大きく音を立てた。

新しく訪れる何かを知らせるかのように。



きっと、私がまた春を好きになるまで、

もうそんなに長くはない。

4/15/2025, 6:04:57 PM