せつか

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手のひらに乗った小さな紙切れ。
拙い字で書かれた「たんじょうび おめでとう」の文字。もうだいぶしわくちゃで、端の方は少し破れてしまっている。

「·····」
あれは何年前だったか。
無邪気で、屈託が無くて、その笑顔を見るだけでまるで自分が浄化されていくようだった。
今はもう、その全てが遠い夢のようだ――。

これだけは無くしてはいけない。
そんな思いを抱えて、男は戦場へと旅立った。


END


「手のひらの贈り物」

12/19/2025, 11:43:03 PM