まき

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♯ 八宝菜


初めて母親に習った料理は八宝菜だった。
うら若き女子が作りたい料理ではない。
なぜ料理を習いたいと言ったのか、その背景を考慮してくれるような人ではない。
母親の言うことは絶対だった。

一番簡単だから

確かにそうだった。簡単だ。
でもそうじゃない。
仕方ないので、本屋さんでレシピ本を買った。
でもよくわからなかった。基本的な事がわからないと難しかった。一人では難しかったのだ。
小学生の時は友達の家で一緒にアイスクリームなんて作ったりして楽しかった。なんでか固まらなかったゼリーとか。

まーグスグスしていても仕方ない。
デートまで日が迫っていた。
なんとかしてお弁当を作って普通のデートをしてみたかった私は、仕方ないので、はっきりと卵焼きを習いたいと言って教えてもらった。
残念ながら私の作った卵焼きの焼き色が気に入らないのかダメ出しされる。美味しそうに見えないらしい。
褒めて育てるなんて思いつきもしないのだろう。
褒めても褒めなくても勉強はしていたし、いつも普通を目指していたのだから、親として特に困りはしなかったと思う。
でもダメ出しより、こうした方がいいよってアドバイスくれたらもっとできる子になれてたかも知れないのにな。

3/10/2025, 3:32:31 PM