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澄んだ瞳/

澄んだ瞳
絶望を知ってる瞳
何かを見据えた瞳

瞳に宿るのはその人の心、生き様、

涙を流した分だけその人の瞳は澄む
絶望を乗り越えた分だけ瞳は優しく据わる

痛みとともに生きるその瞳に出会った時
わたしは恋に落ちる

逃れようのない瞳がこの世には存在する

魅了され翻弄され堕ちていく

彼の瞳もそうだった

澄んでいる中に冷たさと強さと豊かさを感じた

とてつもなく美しく愛おしいと思った

出会ったら最後
逃れることはできない
本能が彼を求めてしまう

そんな溺れるような恋に終わりが訪れたのは
彼の瞳に変化が現れたからだった

ふたりで過ごせば過ごすほど
いつしか彼は孤高という強さを失くし
わたしを求めるつまらない瞳になっていった

わたしの羨望の瞳と彼の冷めた瞳が
まるで入れ替わるみたいに
綺麗に、だんだんと、着実に。

そして彼からの視線に耐えられなくなっていった

彼の瞳に映るのも、自分の瞳に彼が映るのも
嫌だ、と本能が叫んでいた
そう感じてしまった瞬間に
あぁ、もう全て終わったのだと悟った

彼の美しさはもう消えてしまった、と

彼の美しさを奪ったのは紛れもなくわたしで
そんな彼を愛せないのもまた事実で

その瞬間にこれは恋だったのだとわかった

恋とは人を傷つけてしまうことなのかもしれない


では愛とは。


愛するふたりはお互いがお互いを
暖かく、澄んだ瞳で見つめ合っているのかもしれない

7/30/2024, 11:35:51 PM