日を跨ぐ約一時間半前にして、ずたずたに疲れ切った身体をソファーに沈めた。
(やっと一日が終わる……)
足を上げて、膝を丸める。ドーナツ型の蛍光灯をぼんやり見上げていた。
(何もしてないのに、どうしてこんなにつかれるんだろ)
膝の間に顔を埋めたそのとき、ふいにばちばちっと火花が散るような音とともに、部屋全体が真っ暗になった。電気が切れたのだ。
でもだらけた体勢を変えず、そのまま縫い目がやぶれかぶれのソファーの上に座っていた。
このごろ一時的な停電が多い。原因が何かはわからないが、すぐ直るのでいったん放置してしまっている。
(これってやっぱどっかから漏電してるとか? ショートっていうの? やだよ、私の家から火がボッとか……ひえー)
思いつつ、行動に移さない。常に受け身で生きてきた自分の悪い癖だと分かっているけど……。
真っ暗のまま寝返りを打ったら、そばにあった箱ティッシュを尻で潰してしまった。
(なんか……潤いとか、ときめき? そういうキラキラしたものが足りないよね)
なんだかなあ、と思いつつひしゃげた箱を拾う。欲しいよー、キラキラ。
(だってさ。植物だって水と日光がなきゃ枯れるのに、人間が日々の潤いも輝きもなしにどうして生きてられるの?)
沈んでいれば気持ちいい沼をたゆたっているうちに、電気はついていた。
部屋内の明るさを取り戻したときには、何を強く切望していたのかも忘れた。
2/17/2025, 1:37:49 PM