人類と死神がWin-Winの関係になるように生み出された神がハッピーエンドの死神である。つまり、幸福の絶頂で命を刈り取る神なのだ。
死神だって人の命を奪うだけではだんだん嫌になってくる。元々人間だった頃の感情がちょっと思い出されたりするそうだ。
そこでハッピーエンドの死神が生まれた。幸福の絶頂で命を刈り取るのだ。それなら悲しみはない、悲しみを感じる暇がない。死神もその担当になると生き生きしてくるらしい(死神なのに!)。
ある資産家が大儲けしたタイミングでやってきたハッピーエンドの死神、ここぞとばかり命を刈り取る。
その資産は自動的に一人息子の元へ。天文学的な資産が手に入り幸福の絶頂! そこにハッピーエンドの死神がやってきて、スパッとひと鎌。
資産は孫の元へ。
スパッ。
そして、ひ孫の元へ。
しかし、ひ孫は生まれたばかりで資産なんてわからない。
ただ毎日大泣きである。
これでは命を刈り取れない。育つのを待とうと死神はひ孫のまわりを行ったり来たり。命を刈るタイミングまで手出しはできない。
早くに親を亡くしたひ孫は、それでも資産を元に人生を謳歌する。全てが叶う人生である。
ハッピーエンドの死神は、このひ孫の人生を見守り、幸せの絶頂を探す。人生一喜一喜、憂うことなどほとんどなかった。今か今かとチャンスを伺うが、だんだん情が移ってしまう(死神なのに!)。
人生の絶頂はいつか?
気づくとひ孫は老人になっていた。
人生を振り返りながら、静かに日々を過ごしている。
「あの頃が、一番幸せだったな」
ハッピーエンドの死神は、今しかないと考えるが、しかし絶頂はすでに過去に過ぎ去っている。これでは俺の役目として命を刈り取ることはできない(死神なのに!)。
死神はそっとうなずき、鎌から手を離した。
3/30/2026, 3:41:23 AM