ランタンを手に、暗い夜道を歩いていく。
中の炎は時折揺らめくが、消えることはない。消えればいいのにと思いながらも、無言で社まで歩いていく。
この古ぼけたランタンは、人の記憶を糧に光を灯すらしい。
そしてその炎は、社に納めることでなかったことにもできると言い伝えられてきた。
そんなことはただの迷信だ。そう思いながらも、興味本位で友人たちと試している。
小さく息を吐いた。友人は皆、学校や家での些細な記憶を糧に火を灯し、社に納めてないことにしてしまった。
最後は自分だ。
皆と同じようにランタンを灯し、社に向かって歩いていく。灯りの糧に選んだのは、自分の中で一番古い記憶だった。
11/20/2025, 9:46:14 AM