潮鮫

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君と最後に会った日から何も変わらない。

息苦しさで心臓が止まることもなければ
悲しみで涙が止まらないこともなかった。
おまけに、君を追うことなどは考えもしなかった。

世界は丸いから端で泣く人はいないが、
それは主役で溢れているということだ。

そんな中で俺が目立って人気者になってとか、
もう子供じゃないから考えない。

「そんなの当たり前でしょう。
 没個性な奴を認めてくれる人などはいなくて、
 結局みんな自分が一番大事で、
 心からの称賛も拍手もお世辞に聞こえる。
 他人の腕毛を勝手に見て気持ち悪がっても、
 自分の汚物からは目を背けるもんだろ。
 そうやってお綺麗な自分様に浸ってるのは
 まあ良くはないけど、生き易いよ。」


君の言葉は、やっぱり厳しい。

「お前が生きようが死のうが関係ない奴なんか
 この世に腐るほどいるぞ。
 飛び降りて死んだら、腹立つ奴がいる。
 迷惑だと思う奴がいる。
 でもそんな奴らよりもっとずっと多くの人間は
 お前のことを知ることもないし腹も立たない。
 
 あるだろ。身内が死んで、ああ悲しいってなっても
 テレビでは有名人しか取り上げられないこと。
 当たり前だけど腹が立つだろ。
 こそこそ卑屈なことしてるやつじゃなくて
 何より大切で優しかった奴が人庇って死んだとか、
 人生不平等だって嘆きたくなるだろ。

 でもそれもやっぱり、お前以外のやつにとって
 そいつはどうでも良くて何も知らなくて、
 窒素みたいなもんなんだよ。」






そうだな。
君も、俺も。



ありふれてて訳わかんなくて、
一個消えても平気な存在なんだろう。


君は特別でありたい?
世界が滅ぶほど強い力を持つ存在でありたい?




「別に。

 今までのは他人の話だからな。
 お生憎、自分が幸せならそれで良いんだ」



…はは、お前らしい。
 

6/27/2024, 9:05:46 AM