伊根子

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友達がいました
お姫様のように小さくて
鈴のように笑う子でした
ひとりぼっちだった私に 声をかけてくれた
そんな優しい天使でした

一年経ってクラスが離れてしまった時
あの子は急に私を避けるようになりました
側にいたのは意地悪で有名だけど
周りにたくさん子分がいたあの子だった
お姫様は魔王に囚われてしまいました
弱虫な私は勇者にはなれなかった
孤立してしまった私はどんどんと暗くふさぎこんでいきました

ある日あの子が転校すると報せが入りました
引越し当日来た電話 でもその日私は掃除当番で
受けることができず その子の家にかけたところで無情にも音声ガイダンスが流れます『この電話番号は現在使われておりません』
内気で引っ込み思案な私は 他クラスの明るくて活発な先生にあの子の連絡先を聞くことすらできませんでした
どうして話してくれなくなったのか これからも仲良くしてくださいって 一言だけでも話せたらきっと救われただろうな

あなたじゃない幼馴染に 召使いのようにこき使われた私は今 友達はみんないなくなってたった一人でいます
優しい旦那様はいるけど 趣味が合わないので一緒にはあまり遊べません 友達の作り方を忘れちゃった私はひとりぼっちの虚しい生活を送っているのです

あの電話さえ取れていたら 一言でも交わせていたら
きっと私は前を向けていたんじゃないかって
今でもずっとずっと後悔しているよ
もう声も思い出せないけど あなたは確かに唯一無二の親友でした ありがとう 伝わることはないと思うけど

5/15/2024, 9:29:46 PM