寂しい
わけもなく寂しくて
これだけ蝉は騒がしいのに
家族はそばにいるのに
鳥は肩にとまって歌うのに
寂しい
バチあたりかな 恐れます
寂しいが背中にいるから
はがしてほしいだけなんです
不幸面したいわけじゃない
なんでもない顔で歩きたい
空想のなか 旅をして
鐘の音は遠くに
まんまるの白い月 夜の海は秘密の生き物のよう
風が鳴いている
寂しい、と涙が流れたら
嗚咽に溶けてわんわん泣いたら
こんなはずじゃなかったと
たくさん悔いをまき散らして
海も闇もヒトの輪郭もわからなくなって
泣いて わけのわからない罵りや
憤りを、怨恨を、やるせなさを
滔々と
耳がぼんやりして
頭の芯があったかくて
空洞で
ぽっかりしていて
寂しさは
どこかにいったみたい
誰にも見せられない自分になったら
やっとほっとしたんだ よ
8/5/2024, 4:22:16 PM