noname

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空から女の子が降ってきた。
自由落下してきたので優しくキャッチするなんてできるはずもなく、俺は見事に押しつぶされた。セクハラだなんて言うなよ、ちくしょう。
彼女は見たところ高校生くらいで、若いのに大変だなぁと感じてしまう。まあ、俺が言えたことでは無いが。どうしてここに来たのかと聞いてみれば、階段から落ちたんだと言う。なんともそそっかしい理由だ。俺が何も言えないでいると、彼女はのこしてきた母親が心配だと泣きだしてしまった。
勘弁してくれ、こちとら十数年前に子供をあやしたきりなんだ。わたわたとハンカチをとりだし、彼女に差しだす。あ、鼻水拭いた。まあいいけど。
ふと彼女が俺のハンカチを見て何事かを呟いた。
「あれ、これ…」
突然、ぐるり!と彼女が回転する。そうしてそのまま空に落ちていった。
あまりにも急なことだったので、湿ったハンカチが頭に落ちてきてようやく我に返った。来るときもそそっかしければ、かえるときもそそっかしいのか。まったく誰に似たんだか。

「…ま、母さんによろしく。」

6/19/2024, 7:05:39 AM