私には友達がいる。中でも一番仲良しなのが実花だ。
といっても今は絶交しそうなくらいの喧嘩をしている。
喧嘩の内容は本当に些細なことなのだが、口も聞かない状態がかれこれ1週間以上も続いている。
私も実花も意地っ張りだから謝ろうとしている気持ちがあっても素直になれないのだ。
来週の日曜日は一緒にショッピングに行く予定でなかなか予定が合わないからすごく楽しみにしていた。
どうにかそれまでに仲直りしたいと思い、私は明日の朝実花の家に行ってあやまろうと考えていた。
「やだ、怖いわねぇ。」
リビングでテレビを見ていた母が呟いている。
「どうしたの?」
「空き巣よ、この近くなの。貴方も気をつけなさいね。」
「はーい」
次の日、私は実花の家に向かっていた。天気が良くて気持ちのいい朝だった。
ピンポーン
「実花いる?私だけど…この前はごめんね。仲直りしたいの」
『帰って』
ドア越しに実花の声が聞こえる。
「どうして?仲直りしてくれないの?』
『いいから帰って!』
「なんで?顔だけでも見せてよ。」
ガチャ
実花が顔だけを覗かせている。すごく怒っているみたいだ。
「顔は見たでしょ?いいから帰って」
私は何も言えなくなり自分の家へ踵を返した。
どうして?せっかくこっちから謝ったのに!
もう実花なんてしらない
その後、実花が亡くなった。
私が実花の家を訪ねた日、空き巣が実花の家に居座っていたらしい。
実花は逃げようとして玄関まで怪我をしている足を引きずりながら私と話していたらしい。
怒っているように見えたのも痛がっていたかららしいかもしれない。
実花は私を逃がそうとして声を上げていたのだろう。
私はなんとも言えない気持ちになった。
10/26/2023, 9:00:05 AM