美夜

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 『ブランコ』


 帰り道の途中、ブランコだけある小さな公園がある。
 近道に通り抜けようとしたら、ピロン!とスマホの通知音が鳴った。俺はスマホを鞄から取り出し、ベンチ代わりにブランコに座った。
 キィと鉄製の音が鳴る。懐かしい。
 大人になってから乗ると、意外と小さくて低いんだな。
 スマホのロックを解除し、メッセージを確認する。彼女からだ。
 「今、ブランコに乗ってるよ。」と、自撮り写真など送ってみたら、『え、なんで??』と楽しそうな絵文字が付いてきた。
 久しぶりに、勢いをつけて揺らしてみると、案外怖い。つい、ズズズと靴を擦らせ止めてしまった。
 子供の時って、よくこんな乗り物乗ってたなぁ。ちょっと驚いてしまった。
 子供の感覚なんて、忘れてしまうものなんだな。
 「今度、二人乗りブランコみつけたら、乗ってみない?」そんなメッセージを送って、シンと静まる夜の公園を見渡す。
 (俺、一人で何やってるんだろ。)
 ちょっと不審者っぽく感じて、スマホを閉じて俺はブランコから降りた。
 (女の子のスカートが捲れて、パンツが見えないかとか考えてたよなぁ。)
 ふと変なことを思い出し、これは彼女には言えないなと思った。

2/1/2023, 10:56:00 AM