とある恋人たちの日常。

Open App

 
 ぼんやりと彼を待ちながら、部屋を見回した。
 
 一緒に住んで……結構経つな……。
 
 目の前に置いてあるマグカップもお揃いで買った。
 
 窓を見ると、一緒に選んで買ったカーテンが目に入る。
 
 ふたりともカーテンなんて何でもいいと思っていたから、高さを知らなくて慌てて家に帰って色々長さを測ったっけ。
 
 自然と笑みが浮かぶ。
 この家にあるものは、ほとんどふたりで選んだから、何もかもが彼との想い出だ。
 
「たくさんの想い出がつまった家だ……」
 
 愛おしい彼との家。
 
「これからも想い出が増える家だよ」
 
 ぼんやりと眺めていたから彼が帰ってきたのに気が付かなかった。
 
「あ、おかえりなさい」
 
 彼へ正面から抱き締めると、彼もいつものように抱きしめ返してくれた。
 
「うん、ただいま」
 
 いつもなら、すぐに離してくれるのにより強く抱き締められる。暖かくて幸せでいっぱいになった。さっきまで、彼との想い出を反芻していたから、私も離れがたい。
 
「これからも想い出、たくさん作っていこうね」
「はい!」
 
 
 
おわり
 
 
 
一八六、たくさんの想い出

11/18/2024, 1:05:00 PM