幸せ

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優しさだけできっと生きていけるそう思ってたのはいつまでだっただろうか。
友達にも家族にも先輩にも電車で会った人ではさえにもやさしくしていた。
見返りを求めず、これが自分の生きる方法だ、と信じて疑わなかった。
高校最後の紅葉を見た頃だった。
好きな人ができた。
好きになった理由は忘れてしまうぐらいにしょうもなかった。
けれども好きなところはいくらでも言えた。
その人とは同じクラスで、隣の席で、友達の友達で毎日少し話すほどだった。
勇気を振り絞って聞いた連絡先に、その勇気を超える勇気を振り絞りメッセージを送ってみた。
通知が来るのが怖くてマナーモードにしてしまうくらいには恋焦がれていた。
からかえるぐらいの仲になった頃、友達からその人に彼女ができたことを知らされた。
恋はあっけなく散ってしまった。
そのままやけになって、どうせ振られるんだから、いつかは積もり積もって溢れてどうせ口から出てしまうこの気持ちをあなたに伝えてしまおう。とどうしてか思ってしまった。
勢いのまま想いを伝えた。
そうするとその人は、困ったように笑い
「お前って誰にでも優しいからさ。」
と言われた。
そのとき心の中のなにかがパリンと割れた音がした。
ああ、そうか、物心ついた時から信じていたものは間違っていたと。

だから優しさだけできっとなんて思わない。

5/2/2026, 2:42:25 PM