落ちていく
草の斜面を全速力で駆け下りると
いつの間にか地面から足が浮き空回りしていた
ああこのまま落ちていくのかな…
一瞬そんな感覚に陥るけれど怖くはない
そのうち風をつかまえたパラグライダーは
インストラクターと私の体をゆっくりと上昇させていく
秋のひんやりと澄んだ空気をふわりくるりと切り開くようにまだまだのぼっていく
さっき走った草むらも人も遠くに見える
思っていた以上にひんやりとした風が心地よく顔を撫でる
逆にワクワクして胸のあたりはじんわりとあったかい
よくあるセリフだけれど「鳥になったよう」これが一番しっくりくる
ぐるりと周りの景色に目を向けてみる
遮るものがない広々とした世界では、自然の大きさや偉大さのなか小さな鳥になった自分を感じ、わたしも自然の一部であることを満喫する
しばらくすると今度は大きな円を描きながら降りてゆく
まだまだこの世界に居たいという気持ちのなか、五感で感じた事を忘れないように記憶に刻む
そしてゆっくりと元いた世界へと戻っていく
初めての空中散歩は時間にするとほんの15分ほどだったけれど、私には倍以上の感覚に感じられた
落ちていく感覚
のぼってい感覚
降りていく感覚
素敵な体験だったな
11/23/2023, 12:51:35 PM