NoName

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見つめられると

「何?何で私の事をじっと見てるの?私なにか付いてる?」 「あっいや別にその、なんでもない」
少し顔を赤らめて恥ずかしそうにいう彼。

「やばい、やばい」心臓のドキドキが早くなり速度を増していく。好きな人が近くにいるとモジモジしてしまうのが彼の癖だった。彼女にはっきり付き合ってくださいと言える勇気がなかった。むしろ断られたらどうしようという不安のほうが強かった。昨日も今日も好きな人をじっと見つめてしまった。その度に嫌われたんじゃないかと不安になってしまう。

すると次の日彼女が「ねぇ私の事好きなんでしょ?」と聞いてきた。「えっ?」彼は一瞬彼女が何を言っているのか分からなかった。彼女はにっこり笑って、彼の耳元でそっと囁いた。「私もあなたのことが好きだったの、良かったら付き合ってくれる?」まさか彼女から告白されると思わなかった。彼は無言で頷いた。彼女は、にっこり笑って内緒ねと言うように口に人差し指を当てて走り去った。彼は、もっと早く告白するべきだったと思った。言えずにモジモジしていた自分が馬鹿みたいに思えた。これが彼と彼女の甘酸っぱい恋のはじまりだ。

3/28/2024, 11:13:40 AM