夜の海
息苦しい。
辛い。
苦しい。
日々の生活の中で限界になりそうだった。
いつも、疲れた日は夜の海にくる。
浜辺をゆっくりと歩く。
これが私には高校生になってからの唯一の楽しみだった。
「はぁー、どっか遠くに行きたい。
消えてしまいたい。」
誰か助けて
そう思った時私は意識が途切れた。
目覚めた私は海の中にいた。
やばいっ!溺れた!?早く早く助けを求めなきゃ。
でも・・・・・・・・・・・
もういいかな。
疲れたし。このまま沈んで死ねれば楽かもしれない。
いっか。
私は足掻くことをやめてそのまま海の流れに任せて目を閉じた。
けれど、いつまで経っても息苦しさがこない。
なんで、普通海に入ったら当然息は苦しくなる。
それなのに、なぜ?
異様な状況に慌てながらも周りを見てみる。
っ!?
私の体が!
テレビで見るようなにんぎょになってる。
私、にんぎょになっちゃったの?
どうしよう。これどうすればいい?
どこに行ったらいいんだろう。
「おい。どうした?」
声がした。
声の方に目を向けてみると男の人がいた。
どう言うことなのか聞けると思って近寄り、話しかける。
「あの、私なんかにんぎょになっちゃったみないなんですけど。」
そう言うと男の人は納得したように言った。
「そうか。お前もか。じゃあ、ついて来て。」
「はい。」
男の人に言われるままについていくと人がにんぎょが男の人がいた。
さっきから思ってたけど、男の人はなんでちゃんと人間の姿なの?
「よし。お前ら、新しい仲間だ。」
それは、学校で転校してくる子を先生がみんなに紹介するような感じを思い出した。
私はまだ状況が理解できていなくて、
「あの、ここはいったい?
どう言うことですか?
なんで私はこんな姿に?」
私がみんなに投げかけると私と同じようなにんぎょの姿をした女の人が言った。
「あぁ、それはね。
まいちゃんさ?海の前で考え事してなかった?
地上で苦しい思いをしてきたんじゃない?
ここはね、そういう地上で息苦しさを感じた人とか海で悲しいことを願った人達が来るんだよ。
だから私も今はもうここに馴染んだけど元々は人間で地上で過ごしてたよ?」
そうなんだ。
だから私も。
このにんぎょになったってことは簡単に信じられないけど、状況は理解できた。
するとまたさっき説明してくれた女の人が話し始めた。
「元々人間だった人には決まりがあるの。聞いてね?
あのね、私達は満月の夜には地上に戻らなくてはいけない。でも、地上に戻ってから次の日になるとまたここに来ていいってことになってる。
これは絶対ね?でも、地上に戻ってからまた来るかはあなた次第。好きなようにできる。
もしも、決まりの満月に地上に戻るって言う決まりを破ったらもう2度ここには来れなくなる。
これぐらいかな。説明することは。」
なるほどね。
ここには好きなだけいていていいのか。
それから何日か経って
そこは、海の中はすごく心地よかった。
気を遣わないでいいし、人の目も気にしなくていいし、同じ海にいる子達はいい子ばっかりだし。
もう最高だった。
ここが私の居場所だって。そう思えたんだ。
だからここにこれて良かった。
心からそう思えた。
完
こんな世界があったらいいですよね。
自分にとって心地の良い場所。
羨ましい!
8/16/2023, 1:32:53 AM