NoName

Open App

「待って!」
必死に手を掴んでやるけど、全く歯が立たない。
そりゃそうだろ、コイツ力つえーもん。
「だから、何!?」
金髪をふわふわ揺らしてこっちを向いたコイツの顔は、はちゃめちゃに歪んでてこわい。
「いや何、じゃねえし!なんでそんなに怒ってるの?」
「怒ってるも何も、お前が俺のプリン食べたんだろ!」
「それくらいいーじゃん!」
「だめだわアホ!」
まあ事の発端は俺がコイツのプリンを食べたから。なんだけども、それくらいよくない!?って思ってる。
べつに、悪かったって思ってるけど。
思ってるからね?
「あれ限定なんだよ」
「知ってる」
「知ってて食うなや!」
食べた後、シールを剥がそうとした時に限定って書いてあったんだもん。仕方無いでしょっ!
「…ごめん」
なんか怖くなったから、謝る。
そしたら、黙って睨んできた。
「また、いっぱい買うから」
「…仕方ねーな」
やった、お許しもらっちゃった。
「やったー!!また食べるね」
「馬鹿が!」
「いった!」
「話になんねー」
「あ、まって!」
「イヤだねばーか」

また、おにごっこがはじまる。

5/18/2025, 12:38:26 PM