望月

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《風邪》

 熱のにおいがする。
 いつも、そうだった。
 なんとなくにおいが変化しているのか、微熱であっても、熱が出たときは気が付くのだ。
 何か違うのかはわからないが、なんとなく。
 熱のにおいが、いつもする。
「げほっ……けほっ、けほ……はー、だる」
 鼻が詰まって、鼻水が止まらなくてなって……と、鼻からが多かった。
 そして咳が酷くなって、喉を痛めてしまうのがいつもの流れだった。
 特に季節の変わり目には要注意だった。
 全然、二週間とか三週間とか、病院で薬をもらっても治らない。いつまで居座るつもりなのかと、呆れてしまうほど。
 最早慣れた。それくらい、今年の冬も戦いは長引いたのだ。
 だから、しっかりと体を休めなくては。
 睡眠をとろう。
 適度な運動も。
 そうして、また元気に過ごせるようにと期待をしながら、不規則な毎日を送るのだ。
 僕は、そういう奴なのだ。

 今からちょうど一年前から始まったこの作品たちが——僕の綴る物語が、これからも続きますように。
 そう願いながら布団に入った今日は。

「よく。眠れそうだ」

 風邪を引かないように、毛布に埋もれて目を瞑る。
 そうすれば、ほら。
 明日が僕を包み込んでくれるから。

12/16/2024, 2:49:00 PM