ゆかぽんたす

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あの日。
どうして僕はキミを止めなかったのだろうか。

ちょっとそこまで行ってくるね、と言ってキミは出て行った。だが二度とこの部屋に帰ってくることはなかった。
すぐそこのコンビニなのだから往復するのと買い物時間を多めに考えても15分そこらで戻ってくるはずなのに。キミが再び僕と再会したのはその日の夜遅くだった。しかも霊安室なんて場所で。キミは仰向けに寝かされていた。白い布をはらったら眠っているかのような穏やかな顔のキミだった。眠っているのは僕のほうなのか。そうだ、きっとこれは夢なんだ。だから早く醒めてくれよ。目覚めたくて思いきり自分の頭を掻きむしったら髪がごっそり抜けた。夢なんかじゃないと、思い知らされた。


あの日どうして僕はキミを止めなかったのだろうか。
答えはいつ分かるのだろうか。僕はこの先ずっとこの十字架を背負いながら生かされてゆく。分かったところでキミはもう戻ってこない。やはりあの日のことは夢じゃなかったから、キミは荼毘に付されてしまった。1人になった僕はキミのいる空を見上げた。
僕の、キミへの寂しさ愛しさよ。やるせない気持ちと共にキミのもとへ届け。

8/24/2023, 1:06:44 PM