『今日は日差しが強く、全国的に夏同然の気温となりそうです。熱中症に注意して、こまめに水分を取るようにしたいですね。…さて、次のニュースは…』
あんまりじゃないかと思うくらい、あつい。
天気予報を聞き流しながら外を眺めれば、清々しいほどの晴天。
こめかみに滲む汗すら鬱陶しい。
いっそ釜茹でにでもして殺してくれ。
ソーダ味のアイスを噛み締めながら、もう一度外を睨んだ。
年代物のエアコンがついに起動しなくなっていたことに気づいたのは昨日のことだった。
異音は年々激しくなるし、細かな温度設定が22℃か30℃しか選べなくなっていたのに、騙し騙し使っていたのが悪かったのだろう。
寒い冬を乗り越えることはできなかったようだ。
冬眠を失敗した亀か何かだろうか。
それはそれとして、急いでこのオンボロを引き取りつつ、新しいのをつけてくれるところなんて、この暑さではみんなで払っていた。
最短で2週間後の平日ですね、と涼しい声のお姉さんに言われて、世知辛さを感じつつも、頼むしかないのが電化製品音痴のできる最善策である。
ぽたり。手に冷感。
いつのまにかアイスの角が丸みを帯びていた。
熱中症にになる前にちゃっちゃと着替えて、どこか涼しいところへ避難しなければ。
噛み締めた木の棒には、能天気な「はずれ」が踊っていた。
7/2/2023, 1:01:42 PM