[透明な空に墜ちれたら]
「もう、何もかも終わらせてしまいたいなっ…笑」
誰も聞いていない屋上で1人呟く。僕の人生は散々だ。いったい前世どんな悪事を働いたか問いただしたいほどに。親も家庭環境も周りも恵まれなかった。この人生で何が楽しかったか考えても親友のあいつのことしか出てこない。
ひとつ訂正だ。親友だけには恵まれた。でも、ごめんな。携帯の電話画面を開く。
「もしもし、雪?」
「うん、あのな伝えたいことがある」
「どうしたの…そんなに真剣に。今どこ?めっちゃ風の音聞こえるけど、外?」
「うん、外。僕は、僕は渡瀬に会えた事だけが幸せだった。約束守れんくてごめん。」柵に足をかける。
「雪??絶対、俺を置いていくなっていっただろ!後、5分だけ待ってろ」プツッと電話が切れた。あの渡瀬が語気を荒げるなんて珍しい。
5分くらいなら待とうかな。なんて考える僕も甘いんだろう。ぴったり5分。渡瀬が来た。
「雪っ、俺を置いていくなよ。…ごめんな。家庭環境も何も変えれなくて」頭を撫でられる。
「渡瀬のせいじゃないよ。でも、もう疲れたんだ」
沈黙が続く。
「雪…。…俺も一緒に連れていけよ」
6/18/2024, 10:24:35 PM