魔法界ではマグルの電子機器はすべて異常を起こして使えなくなってしまう。
そんなことはみんな周知であるのに、私の友達であるマグル出身の彼女だけはスマホという遠く離れた相手と会話や手紙のやり取りが出来るという機器をじっと睨み付けていた。
「真っ暗に見えるけど、それって今使ってるの?」
「ううん、使えないよ。使えないけど、気になって仕方ないの」
「どうして?」
「LINE…えーと、手紙の内容が気になって…」
聞くところによると、ホグワーツに向かう道中のギリギリまでやりとりをしていた会話の返事が気になって仕方ないらしい。
これはもしかして………
「もしかして、前に教えてくれたマグルの彼氏~??」
ニヤニヤと口元が弛むのを隠しきれなかったわたしの問いに彼女はボッ!!と火を吹いたように顔を赤くした
「うはは(笑)どんないかがわしい内容の手紙だったのやらっ」
「ちがうちがう!全然そんな話ししてない!!」
ちゃかすたびに全力で否定してくる友達が面白くてかわいくて仕方ない。
恋をしてる女の子はどうしてこんなにもかわいいのだろう。
前に見せてくれた静止画の写真には幸せそうな彼女の横にこれまた優しそうな、でも少し好きな子にはいじわるしてそうな男の子が写っていたっけ。
「冬休みになったら帰ってくるから、どこにデート行こうかって相談をしてただけ!!」
「へぇ~?そうなんだぁ~?ラブラブだねぇ~~??」
「そういうわけじゃないけどっ…あーーーもうほっといてぇぇ!!」
ホグワーツの今期は始まったばかり。
彼女の熱い視線はまだまだその機器に注がれるのだろうな。
「開けないLINE」
HPMA side.T
9/3/2024, 8:33:15 AM