薄靄の中、しっとりとした音の無い雨が降る。ひどく打ちつける横殴りの雨とは違っていまの、私には余りにも優し過ぎる。乾いた瞳に、柔らかな雨が触れて頬を伝う。それが、いつしか温かい涙となって本当に泣いてしまっていることに ふと、気づいた。噛み締め、きつく閉じた唇を薄くあけ ふぅっと…息を吐く。柔らかな雨は まだ止まない。【お題:柔らかい雨】
11/6/2023, 1:35:08 PM