NoName14

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薄靄の中、しっとりとした
音の無い雨が降る。

ひどく打ちつける横殴りの
雨とは違って

いまの、私には余りにも
優し過ぎる。

乾いた瞳に、柔らかな雨が触れて
頬を伝う。
それが、いつしか
温かい涙となって本当に泣いてしまって
いることに ふと、気づいた。

噛み締め、きつく閉じた唇を
薄くあけ ふぅっと…息を吐く。

柔らかな雨は まだ止まない。


【お題:柔らかい雨】

11/6/2023, 1:35:08 PM