たぬぐん

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「ハッピーエンド」

昔は大団円でハッピーエンドを迎えるアニメが好きだった。

最終話で、主人公とヒロインが一緒に死のうとしたけど、最終的にヒロインだけが死んだ作品があった。

その最終回を観た時、中学生だった僕は心から叫んだ「その終わりはダメだろ…」と。
最後の描写で、主人公はヒロインの歌を聴いて、満足そうに笑っていた。
僕には、その笑顔が寂しさを紛らわせているように見えた。
無理矢理ハッピーエンドっぽくしているだけだろうと当時の僕は思った。僕は二人が幸せそうに暮らす姿だけを望んでいたのだ。

だが十年近く経って、僕はあることを覚えた。
「託す」ということだ。

自分が犠牲になろうとも、想いを誰かに託し、祈りを紡いでいく。そうやって人間はここまで歩いてきたんだと、いつの間にかそんな価値観が僕の中に根付いていた。

今ならヒロインが一人犠牲なった理由も、最後に主人公が笑った理由もわかる気がする。
彼女は想いを託し、主人公はそれを受け取った。そして最後に主人公は、彼女が確かにそこにいた証明である歌を聴いて、彼女から託された想いを感じていたんだ。

必ずしも共に幸せに過ごす終わり方だけがハッピーエンドではないのだと、私の価値観が更新された瞬間だった。

3/29/2026, 2:11:53 PM