凍てつく星空
学生時代にサークルのあと、星空を見に行ったことがある。
先輩の突然の思い付きで、夜22時、「山に夜空を見に行こう!」ということになった。
男の先輩の提案だったが、ロマンチックな雰囲気では全くなく、私と友人の3人で行くことになった。
先輩の趣味は車で、カーブを曲がる前にライトを消して対向車を確かめながら走る技を教わったり、カーブした道にあるタイヤ痕の意味などを教わりながら走った。
着いたのはスキー場の駐車場で、ちょうど冬だったから冬の第六角形を見ることができた。
友人が、男と女で星空を見る時間が違う異なる理由を考察していた。男は星空を一瞬見て、見た経験に満足するけど、女は長いこと星空を見つめて物思いにふけることで満足するのだ。というようなことを話しているのを先輩と一緒に夜空を見上げながら聞いていた。
私は変わり映えのしない星空に3人で会話を持たせようと、ポケットからスマホを取り出し、冬の第六角形がどれかを必死に探して声に出していた。
そういうあなたは男性脳かもしれないと友人に笑われた。
ちょうどクモの巣が闇夜に紛れて気が付かなくて、先輩に腕を取られたりしたことは今でも覚えている。
はっきりとドキッとしたのだ。
友人と駐車場にあるトイレに行って和式便所で用を足していると目の前の壁に「あなたのお◯んこ撮影中」と書いてあって、◯に当てはまるひらがなの意味を理解したときに悲鳴を上げて大騒ぎしたこともよく覚えている。
あのときは友人が大慌てで助けに来てくれた。
なんて最低なイタズラなのかと震えた。
そんな凍てつく星空を見に行った夜はきっと先輩の彼女とのデートプランの下見だったんだね、と友人とあとで話し合ったんだ。
12/1/2025, 2:04:54 PM